気になる気になる その1
●映画
田舎の炭坑町に、愚かさと仇っぽさが交じりあったような女がいる。
彼女はさる名門の御曹司との問にひとりの娘をもうけるが、訳あって2人は別れることになる。
御曹司は都会に戻り、上流階級の生活に戻ると、以前の恋人と結婚する。
女の方は健気に母親を演じていたが、娘の将来を思ってあえて愛想尽かしをし、彼女を実の父親のもとへ送り出す。
娘は優しい継母に迎えられ、やがて名門の青年と結婚することになる。
雨の降りしきる結婚式の日、教会の外から実の母親は、娘の幸せそうな晴れ姿をじっと見つめている。
自分が名乗りをあげれば、すべてが台なしになってしまうと、心密かに思いながら・・・。
1925年にヘンリー・キングが撮った『ステラ・ダラス』という、アメリカ映画の粗筋です。
ハリウッドのメロドラマには「名もなき女の物語」というジャンルがあって、『椿姫』や『哀愁』といった作品がそれに当たります。
どこにでもいる貧しい女を主人公としたウィーピー、つまり日本語でいう「お涙ちょうだい」映画のことです。
20年代から40年代にかけて、ハリウッドはこの手の作品を大量に制作し、それを全世界に向けて配給しました。
紅涙を流したのはアメリカ人だけではありませんでした。
世界中の女性観客がヒロインの一挙一動に感動し、劇場の暗闇のなかで彼女たちの運命の悲惨をわがこととして受けとるのです。