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2010年08月 アーカイブ

気になる気になる その3

●映画

多くの日本人は、まさかこの場面がアメリカ映画に由来していることなど、知るはずもありませんでした。

彼らは和製ステラ・ダラスの物語を、あたかも自分たちの人生が始まった以前から日本に存在していたものであるかのように受けとり、そこに義理と人情の板挟みという日本人の道徳的葛藤を投影してきたのです。

もっとも成瀬巳喜男だけは、さすがに単純な模倣では満足しなかったようです。

1932年に撮られた松竹映画『生さぬ仲』では設定を少々変え、実の母親は娘と別れたのちハリウッドに渡り、映要優として大成功をしたのち、娘を取り戻そうと帰国するという物語になっています。

そはハリウッドそのものが物語のなかで神話的な役割を担っているのが、面白いみたい。

気になる気になる その4

●映画

『ステラ・ダラス』の完壁なリメイクは、1937、東宝で山本薩夫が撮った『母の曲』です。

吉屋信子に原作を仰ぐこのフィルムでは、17歳の原節子が娘の役を演じ、英百合子演じる女子工員の母親のもとを離れて、入江たか子の継母のもとへ走ります。

このフィルムは、激しい雨の降る東京会館の前で、白無垢の嫁入り衣装に身を固めた原節子が車で去たのち、いつまでもそれを路上から眺めていた英百合子が、別の車の勢いについ倒されてしまうところで終わっています。

この『母の曲』のヒットが潜在的な引き金となって、戦後に三益愛子による「母もの」映画が撮られることになりました。

三条美紀書鳥みつ夜松島トモ子らを娘役に見立てて、三益はどこまでも情にもろく、無学で自己犠牲に長け毒親を演じ続けました。

『母』『母紅梅』『母三人』・・・も信じられないことですが、50年代の中頃まで続いたこの「母もの」シリーズ奏は、本数にしてなんと31本に達していたと言います。

まさに敗戦後の日本にあって、代表的メロドラマというにふさわしい分量です。

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