気になる気になる その3
●映画
多くの日本人は、まさかこの場面がアメリカ映画に由来していることなど、知るはずもありませんでした。
彼らは和製ステラ・ダラスの物語を、あたかも自分たちの人生が始まった以前から日本に存在していたものであるかのように受けとり、そこに義理と人情の板挟みという日本人の道徳的葛藤を投影してきたのです。
もっとも成瀬巳喜男だけは、さすがに単純な模倣では満足しなかったようです。
1932年に撮られた松竹映画『生さぬ仲』では設定を少々変え、実の母親は娘と別れたのちハリウッドに渡り、映要優として大成功をしたのち、娘を取り戻そうと帰国するという物語になっています。
そはハリウッドそのものが物語のなかで神話的な役割を担っているのが、面白いみたい。